いま、なぜ、ASOBIOなのか?-「子ども主体」という言葉をとらえなおす

ASOBIOは「あそび」と「ビオトープ」を組み合わせた言葉です。こども園、幼稚園、保育所の園庭や屋外の保育環境に自然環境を取り入れる活動を専門家、研究者と企業が連携して啓発活動や支援をしています。2023年度はオンラインセミナーや公開保育を実施し、約2,000名の先生に参加頂きました。また園庭研修やデザイン、設計、施工を担当する(株)スマートエデュケーションは約20園の園庭改修のお手伝いをしました。

ASOBIOの監修者である、玉川大学教授の大豆生田啓友先生にASOBIOの活動の意義に関して寄稿頂きました。タイトルは

「いま、なぜ、ASOBIOなのか?」
『こどもまんなか』と『いのちまんなか』をつなぐ持続可能な社会形成のために

です。寄稿頂いた文章を冊子にまとめました。お申し込み頂ければ、無料でお届けします。

第1章、第2章はWEBで公開中です。第3章以降は冊子でご覧ください。無料でお届けします。

第1章:「子ども主体」という言葉をとらえなおす
第2章:日本の保育と園庭 
第3章:「環境のための教育」の視点を 
第4章:子どもがワクワク、先生がワクワク、保護者もワクワク!
 


第1章「子ども主体」という言葉をとらえなおす

幼稚園(=キンダーガーデン)はフレーベルが作った言葉です。「ガーデン(庭)」という言葉が入っている通り、フレーベルは庭という自然のなかでの教育の重要性を唱え、園庭がさまざまな機能を果たす場であることの必要性を述べています。日本の幼児教育の父といわれる倉橋惣三もこの思想を受け継いでおり「遊園は幼稚園の設備の中で最も充分なる条件を完備しうる場、最も良き保育の場は『広き遊園』である」と述べています。園庭は、このように歴史的にも重要な場として認識されてきており、幼児教育の一つの原点は自然のなかにあるといってもよいでしょう。

今、保育は大きな変革期にあり、とくに「子ども主体の保育」が大きなテーマとなっています。ここで考えなくてはならないことは、豊かな保育は「子ども主体」のみを尊重すれば実現できるものなのかどうか、ということです。

まずは「子ども主体」の保育について、とらえ直してみましょう。「子ども主体」は子どもの「積極性・能動性」と同意語のように使われることも多いですが、「行為主体」を意味する”agency”の原点は、子どもの人権であり、権利の主体であり、その子自身の思いが尊重されることにあると考えます。ですから子どもの主体的なありようは、単に「育てるもの」以前に「尊重されるもの」であるべきではないかと考えています。

また”agency”という概念は「よりよい未来の創造に向けた変革を起こす力」であり、21世紀の子ども達に求められている力です。その育ちは、乳幼児期から始まっているのです。

”agency”は、”co-agency (= 共同エージェンシーあるいは共主体)”ともいわれます。子ども主体の保育は、単に子どもだけが主体なのではありません。保育者・保護者・地域の大人たちも学びのプロセスに主体的に関わり、協働的な関わりの中で豊かな学びが生成されるのです。それは周囲の他者と協働しながら、子どもが持続可能な社会の作り手となっていくことでもあります。そう考えると、人間中心の社会の視点だけではなく、「いのち」(自然環境)も主体と考えるような視点も大切になってくるのではないでしょうか。

だから私は、「共主体」の保育は、子ども主体を尊重しつつ、保育者や保護者も含めた大人も主体、モノや自然も主体としてとらえることが必要ではないかと考えています。

第2章 日本の保育と園庭

かつて、わが国の子どもは遊びを通して、あるいは近隣の自然とのかかわりを通して育つことが当たり前でした。しかし特に戦後、幼児教育施設が普及し、一斉画一型の教育スタイルが広がるなかで、学校の校庭のように園庭が運動場化していく実態がありました。戦後80年近く経つ今もグラウンド型の園庭は多くみられますが、今、園庭を見直していこうという動きが日本中の多くの園で起き始めています。

まだ研究が十分ではないものの、これまでの園庭に関する文献等から、園庭を見ていく視点として、以下のようにざっくりと大きく4つの視点からとらえてみました。

  1. 多様に身体を動かす遊び場や拠点としての機能
  2. 自然との関わりを持つ場や拠点としての機能
  3. 多様な遊びや暮らしが生み出される場や拠点としての機能
  4. その他、園庭を拡張してとらえ、テラスなどの中間領域的な場や園外の地域も含めた場など

この4つのなかでとくに注目したいのが「②自然との関わりを持つ場としての機能」です。ある園ではグラウンド型の園庭の片隅に小さな雑草の場を作ったところ、子どもたちの遊びが明らかに変わっていったそうです。雑草があればいろいろな生き物が集まり、新しい命が生まれ、生態系が起こります。

一つひとつの命には個性があり、主体があります。その主体的な命に触れることで子どもたちの知的な興味関心は豊かになり、さまざまな遊びや学びが生まれるのです。季節の移り変わりや命の多様性に触れて驚き、心が動かされる。この「センス・オブ・ワンダー」を幼少期に感じることが、子どもたちの育ちにはとても重要です。

第3章「環境のための教育」の視点を、第4章:子どもがワクワク、先生がワクワク、保護者もワクワク!は無料の冊子でお届けます。下記よりお申し込みください。  


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