コラム

こども園・幼稚園・保育所の園庭改修の事例を大公開

ASOBIO(アソビオ)は、「あそび」と「ビオトープ」を組み合わせた造語であり、子どもたちが園庭での遊びを通じて自然の不思議さ・面白さ・美しさに出会う空間を提供しています。持続可能な社会の実現が求められる今、特に幼児期には、遠くの山や海だけでなく、身近な自然に直接触れ、楽しむ体験が何よりも大切だと考えています。

このページでは、私たちが手掛けた園庭改修の具体的な事例をご紹介します。これらの事例は、各園が目指す保育と地域性に合わせた、唯一無二の自然豊かな園庭です。

ASOBIOが目指す「自然豊かな園庭づくり」

ASOBIOの園庭づくりは、単なる遊び場としての機能に留まらず、教育的価値の高い「自然豊かな園庭」を目指しています。幼稚園(キンダーガーデン=こどもの庭)の原点は、ドイツの教育者フレデリック・フレーベルが提唱した教育の場で、子どもが伸び伸びと成長する庭のような場所をイメージして命名されました。日本の幼児教育の父である倉橋惣三も「遊園は幼稚園の設備の中で最も充分なる条件を完備しうる場、最も良き保育の場は『広き遊園』である」と述べています。園庭は、このように歴史的にも重要な場として認識されており、幼児教育の一つの原点は自然の中にあると言ってもよいでしょう。

ASOBIOの園庭は、子ども主体、保育者主体に加え、「園庭の自然環境」も主体として捉える「共主体」の環境を大切にしています。園庭に自然と触れ合える場を増やすことで、例えば小さな雑草の場を作るだけでも、多様な生き物が集まり、新しい命が生まれ、生態系が起こり、子どもたちの知的な興味関心や探究心、科学する心が豊かになり、さまざまな遊びや学びが生まれることが期待されます。この「センス・オブ・ワンダー」を幼少期に感じることが、子どもたちの育ちには非常に重要です。このような視点は、持続可能な社会の作り手を育む「ESD(持続可能な開発のための教育)」の理念にもつながります。

ASOBIOの園庭設計思想

ASOBIOの園庭づくりでは、「未完成の完成」を目指しています。これは、園庭が変化し続ける可塑性の高い環境であることを重視し、10年後、50年後の姿をイメージしながら、将来の発展に備えるデザインを意味します。また、子どもだけでなく大人も共感できるランドスケープ(景観)を大切にし、地域の特性に合わせた土や植物を選び、在来種を中心とした生態系を創ることで、子ども、先生、保護者だけでなく、地域の人も集うランドマークとなることを目指しています。

園庭を考える上では、「多様に身体を動かす場」「想像や創作を広げる場」「自然との関わりを持つ場」という3つの場を大切にしています。固定遊具だけでなく、木、土、水、草花といった自然素材は、使い方が決まっていないため、子ども自身が考えて遊びを創造する余地があります(可塑性)。

園庭改修の事例大公開

私たちが手掛けた園庭改修事例の一部をご紹介します。これらの事例は、子どもたちの主体性を尊重し、自然との豊かな関わりを育む「共主体」の理念が息づく園庭ばかりです。

北海道:別海くるみ幼稚園

変化し続ける完成しない園庭~好奇心や探究心を育む~
子どもの主体性を重視する保育への転換に伴い、園庭の在り方も大きく見直してきました。従来は「平らでなければ運動会ができない」といった葛藤もありましたが、子どもの声や遊びから保育環境を変えていく意識が広がり、雑木林のようなでこぼこの園庭へ改修しました。固定遊具は置かず、草木や虫、泥場や水場など自然に囲まれた環境の中で、命の大切さを知り、体を動かし、試行錯誤を重ねられる「完成しない園庭」を目指しています。

福井県:めぐみこども園

子ども・保育者・保護者 地域の人たち みんなわくわく 「めぐらす」
室内の充実にあわせて「もっと遊びの幅を!」と始まった園庭づくりは、子どもと保育者の声を重ねるわくわくプロジェクト。サークルタイムで子どもの意見を反映し、自然物や虫を調べる姿、想像を超える遊び方が広がりました。園庭名「めぐらす」も地域と共に決め、子どもたちの手で遊びを巡らせ続ける憩いの場を目指しています。

福岡県:りんでん保育園

命の大切さ、 自然の面白さを感じてほしい
子どもに命の大切さを感じてほしいとの想いから水槽を設置し、生き物への興味や地域交流を深めてきました。70周年記念事業として園庭改修を行い、阿蘇の造園家・古閑舎さんと共に植栽を選定しました。完成後は木々の成長や季節の変化を感じながら、子どもたちと共に自然豊かな園庭を育んでいます。

山梨県:川茂保育園

遊びが広がる。学びが広がる。
園庭整備後の大きな変化は、職員同士の対話が活発になったことです。固定遊具中心では話し合いの機会が少なかったものの、園庭デザインに関わったことで当事者意識が芽生えました。子どもの声を反映した環境づくりについて自然に議論が生まれ、遊びも発展的に変化。改修は園児だけでなく職員にとっても、保育の在り方を見直し、わくわくを広げるきっかけとなりました。

愛知県:桜井こども園

子ども自らが遊びを見つけつくっていく園庭へ
子どもの主体性を育む保育を目指し、固定遊具を取り除きASOBIOを導入しました。枝や葉で作る、泥で遊ぶ、虫を観察する、丘を登るなど自発的な遊びを重ねる中で、自然や生き物との関わりを通して「社会の一員である」感覚を育み、学ぶことの楽しさや豊かな心を育てていきたいと考えています。

栃木県:清愛幼稚園

キンダーガーデンで育む命あふれる園庭への変革
幼保連携型認定こども園へ移行後、1・2歳児が遊び込める環境整備が課題でした。ASOBIOに相談し、職員研修や打ち合わせを重ねて全面改修を実施。固定遊具を撤去し築山や草花を整えた園庭は、虫や鳥が訪れる命あふれる空間へ変化しました。子どもたちは年齢ごとに冒険を広げ、町中にできた里山のような園庭を、これからも大切に育てていきます。

栃木県:安養寺めぐみ幼稚園

子ども自らが発見し挑戦できる環境
副園長就任を機に「平面の砂地は子どもに適しているのか」と疑問を抱き、ASOBIOと出会いました。安全管理や維持への不安も職員全員で打ち合わせを重ねる中で解消され、自然豊かな園庭へ改修。起伏ある地形や多様な動植物との触れ合いが新たな遊びや挑戦を生み出しました。森の幼稚園は未実現ですが、「未完成の完成」の理念のもと変化を楽しんでいます。

大分県:慈光保育園

園舎の建替えを機にこれからの保育ができる園庭に
旧園庭は遊具が並ぶ従来型で、展開が乏しく小さな子どもには危険もありました。園舎建て替えを機にASOBIOへ依頼し、樹木や傾斜、水を取り入れた自然豊かな園庭へ刷新。子どもの遊びや興味が広がり、大人の「遊びの概念」も大きく変化しました。環境によって保育は変わることを実感し、今の育ちに必要な園庭が整ったと満足しています。

茨城県:さくら幼稚園

運動場からこどもの遊びが広がる園庭に
改修前は平坦で魅力に乏しい園庭でしたが、ASOBIOによる築山やトンネル、植栽で環境が一変。子どもたちは登ったり隠れたりと体を存分に動かし、自然観察や虫との出会いも広がりました。外に出ることが楽しみになり、遊びや学びが深まる場に。園庭開放では未就園児や保護者も自然に癒され、これからの成長とともにさらに豊かな遊びが生まれることを期待しています。

埼玉県:つつじ幼稚園

思い切って遊具を撤去しASOBIOを作りました
現場の先生の意見を大切にし、園庭研修やアンバサダー園訪問を経てASOBIOでの改修を決定しました。3Dパースで保護者にも共有し、約1ヵ月半の工事を経て自然豊かな園庭が完成。子ども主体の遊びが生まれ、築山や水を使った挑戦も展開。先生の関わり方も変化し、共に環境を育てていく姿勢が育まれています。

千葉県:きたかしわ幼稚園

創作活動の広がるASOBIOを作りました
5年前から保育の在り方を見直し、室内環境改善に続いて園庭も改革しました。研修での声を反映し、多様な植物を植え泥遊びや生き物との触れ合いが可能に。工事中は職人さんが子どもに作業を説明し貴重な体験となりました。完成後はアトリエ空間での創作や築山での多様な遊びが展開され、ASOBIOは子どもの居場所が豊富な園庭となりました。

東京都:田柄幼稚園

「トコトコたがらんど」誕生!
田柄幼稚園は「いのち・こころ・からだ」を育む全身教育を掲げ、質の高い教育を追求してきました。2023年度にはASOBIOを導入し、SDGsを視野に入れた緑豊かな園庭を実現。子どもたちは虫や草花、畑の野菜に触れ、自然と共に成長しています。園庭は「遊びをとおして学ぶ」場として発展し、世代を超えた交流や四季折々の原風景が子どもたちの心に刻まれています。

埼玉県:あだちみどり幼稚園

雑草が愛おしくなる園庭
改修前は平らで見通しの良い園庭でしたが、遊びの幅が限られ発見や季節の変化も少ない環境でした。園舎改築を機にASOBIOゾーンを整備し、自然や生き物が身近になったことで子どもの興味関心が広がりました。築山での登り降りや探検、泥遊びなど多様な遊びが生まれ、集団だけでなく一人ひとりが好きな遊びや場所を見つけられる豊かな園庭となりました。

埼玉県:吉川ムサシノ幼稚園

まっ平な園庭から子どもがチャレンジできる園庭へ
体育指導を先生主導から、遊びと運動を組み合わせた主体的な活動へと変える中で、園庭環境にも疑問を持ちました。スポーツ中心では自律的な遊びが生まれにくく、自然に触れ合い冒険できる場を目指してASOBIOを導入。完成後は外遊びを避けていた子も積極的に参加し、危険場面では子ども同士で話し合う姿も見られます。卒園児や未就園児も集う地域に開かれた園庭として進化を続けています。

ASOBIOの園庭づくりにご興味はありませんか?

ASOBIOの園庭改修は、1坪程度の狭いスペースから広い園庭全体まで、各園の状況に合わせてご提案が可能です。園庭改修の「何から始めたらよいのかわからない」「植物や自然に詳しくない」「虫が苦手な先生がいるので心配」といった不安をお持ちの先生方もご安心ください。株式会社スマートエデュケーションのASOBIOメンバーは、ランドスケープデザイナー、樹木医、庭師(造園家)など、専門家チームが園の皆さんとチームになって、子どもたちのいきる力を育む最高の保育環境を創造します。

ASOBIOがある園庭の見学や、詳しい資料のご請求、改修のご相談など、お気軽にお問い合わせください。