コラム

【画像豊富】園庭デザインの事例を大公開!地域に愛される「理想の園庭」5つのポイント

「園庭をリニューアルしたいけれど、どんなデザインが良いかわからない」「子どもたちが夢中になり、かつ地域の人も集える場所にしたい」。 そんな悩みをお持ちの先生方へ。 今、保育施設には「こどものための施設」から「地域の人々が集う施設」への転換が求められています。 今回は、これからの時代に必要な園庭デザインの意義と、ASOBIOの豊富な施工事例を画像イメージとともに解説します。

1. なぜ今、園庭デザインの転換が必要なのか

人口減少社会における「園の多機能化」
少子化・人口減少が進む現代において、園には「多機能化」が求められています。それは単に子どもを預かるだけでなく、産前産後の保護者ケアを充実させ、安心して子育てできる環境を提供し、子どもの健やかな育ちを保証するためです。 この社会的背景により、園庭の役割も大きく変わりつつあります。これまでの「子ども専用の運動場」から、保護者や地域住民も心地よく過ごせる「地域コミュニティの拠点」へと、景色の転換が求められているのです。

りんでん保育園の外観
福岡県 糸島市にある、りんでん保育園の外観。自然豊かな園庭が街の景観に貢献している。

「運動場」から「ランドスケープ(景観)」へ
日本の幼児教育の父・倉橋惣三は、園庭を「すべての教育を行える場」と定義し、学校の運動場とは区別すべきだと説きました。 さらに現代では、園庭を地域の「ランドスケープ(景観)」としてデザインする視点が不可欠です。遊具とグラウンドだけの殺風景な場所ではなく、四季折々の自然があり、大人が見ても美しいと感じる空間にすることで、そこは地域の人々がつながり、循環する場所へと進化します。

倉橋惣三が述べた最高の教育の場としての園庭とその条件

1914年、遊園(園庭)は幼稚園の設備の中で最も充分なる条件を完備しうる場、最も良き保育の場は「広き遊園」であると「婦人と子ども」14巻7号の論文中で倉橋惣三は述べています。

幼児教育の主要なる設備たる性能を存分に発揮し得ないのは、一つには学校教育における運動場の目的と幼稚園の目的との混同であり、学校教育の運動場は休憩と体育という特定教科の場所であるのに対し、幼稚園では全部の教育を行うことのできる場だとしています。
また、もう一つの混同は、いわゆる鑑賞する庭園との混同だとしています。

そして理想として3点の条件を挙げています。

イ)なるべく広いがよいことは言うまでもないが、できることならば様々な地形の変化を含むものであるとよい。殊に斜面は最も必要。
ロ)全体の調子がなるべく自然であり、人工的に作ったものと言う感じを少なくしたい。
ハ)清楚なる趣味を具えるものでありたい。幼児本位のものでなければならない。


2. 理想の園庭デザインのポイント5選

「こどもまんなか」でありながら、地域社会ともつながる園庭デザインの5つの要素をご紹介します。

① 大人も癒やされる「ランドスケープデザイン」
園庭は子どもだけのものではありません。送迎時の保護者や、イベントで訪れる地域の方が「心地よい」と感じるデザインが重要です。 例えば、砂場やベンチを植栽で囲んで「懐(ふところ)」のある空間を作ったり、人工的な遊具と自然素材を調和させたりすることで、視覚的にも美しい景観(ランドスケープ)を作り出します。ドイツにある幼稚園は、園舎の外観だけでなく、遊具の配色にも配慮している事が良くわかります。

東京・立川の「GREEN SPRINGS」(東京都立川市に完成した複合商業施設)のように、都市の中にあっても自然に包まれる空間は、地域の価値を高めます。こういった景観的要素(ランドスケープデザイン)を園舎や園庭環境に反映させる事が大切です。

東京都立川市「GREEN SPRINGS」の写真
東京都立川市「GREEN SPRINGS」

② 「可塑性(かそせい)」のある素材選び
固定遊具は遊び方が決まっていますが、土、水、草花といった自然素材には形がなく、子ども自身が考えて遊びを創造する余地(可塑性)があります。 自分たちで川を作れる水場や、泥団子を作れる土のスペースなど、子どもが環境に働きかけられるデザインが創造性を育みます。

③ リスクとハザードの区別
「安全」は最優先ですが、リスクを全て排除した平坦な庭では、子どもの危険回避能力や挑戦意欲は育ちません。 除去すべき「ハザード(隠れた危険)」と、あえて残すべき「リスク(挑戦する危険)」を明確に区別し、発達段階に合わせて木登りや段差などに挑戦できる環境をデザインします。

園庭のリストとハザード

④ 地域性とビオトープ(生物多様性)
「ASOBIO」は「あそび」+「ビオトープ」の造語です。その地域の気候や土壌に合った在来種の植物を選ぶことで、地域の生態系とつながり、チョウや鳥などの生き物が訪れるようになります。 園庭が地域の自然環境の一部となることで、子どもたちは「自分は自然の一部である」と感じ、SDGsや環境保全への意識も自然と芽生えます。

⑤ 「未完成」であり続けること デザインのゴールは「完成」ではありません。10年後、50年後の姿をイメージしながら、子どもや先生の手で変化させ続けられる余白を残すこと(未完成の完成)が重要です。

3. 園庭デザインの画像・事例一覧

ASOBIOが手がけた、自然と遊び、そして地域とのつながりを意識したデザイン事例をご紹介します。

福岡県:りんでん保育園

命の大切さ、 自然の面白さを感じてほしい
子どもに命の大切さを感じてほしいとの想いから水槽を設置し、生き物への興味や地域交流を深めてきました。70周年記念事業として園庭改修を行い、阿蘇の造園家・古閑舎さんと共に植栽を選定しました。完成後は木々の成長や季節の変化を感じながら、子どもたちと共に自然豊かな園庭を育んでいます。

北海道:別海くるみ幼稚園

変化し続ける完成しない園庭~好奇心や探究心を育む~
子どもの主体性を重視する保育への転換に伴い、園庭の在り方も大きく見直してきました。従来は「平らでなければ運動会ができない」といった葛藤もありましたが、子どもの声や遊びから保育環境を変えていく意識が広がり、雑木林のようなでこぼこの園庭へ改修しました。固定遊具は置かず、草木や虫、泥場や水場など自然に囲まれた環境の中で、命の大切さを知り、体を動かし、試行錯誤を重ねられる「完成しない園庭」を目指しています。

福井県:めぐみこども園

子ども・保育者・保護者 地域の人たち みんなわくわく 「めぐらす」
室内の充実にあわせて「もっと遊びの幅を!」と始まった園庭づくりは、子どもと保育者の声を重ねるわくわくプロジェクト。サークルタイムで子どもの意見を反映し、自然物や虫を調べる姿、想像を超える遊び方が広がりました。園庭名「めぐらす」も地域と共に決め、子どもたちの手で遊びを巡らせ続ける憩いの場を目指しています。

大阪府:森之宮保育園

夢中になれる空間~心と心がつながる場所~
園のVISIONには、子どもが夢中になり「もしかしたら…」と友達と語り合い、自分らしい「楽しい」をとことん味わえる環境づくりがあります。戸外の居心地を考える中でASOBIOと出会い、研修を通して思いを共有しました。植栽や生き物との出会いが日々の育ちに彩りを添え、樹々の成長とともに変化し続ける園庭を楽しみにしています。

三重県:ふたば幼稚園

ひとつ芽生えてまた一つ
子どもたちの「やってみたい」という気持ちを大切に、遊びや学びが広がる園庭づくりを進めました。ASOBIOの研修を通して、行事のためではなく日々の園生活こそ豊かにすべきと気づかされ、自然豊かな空間を整備しました。園庭の変化は子どもの遊びを深め、職員同士の学びや保育の工夫にもつながっています。これからも芽生えを育む環境を大切にしていきます。

山梨県:川茂保育園

遊びが広がる。学びが広がる。
園庭整備後の大きな変化は、職員同士の対話が活発になったことです。固定遊具中心では話し合いの機会が少なかったものの、園庭デザインに関わったことで当事者意識が芽生えました。子どもの声を反映した環境づくりについて自然に議論が生まれ、遊びも発展的に変化。改修は園児だけでなく職員にとっても、保育の在り方を見直し、わくわくを広げるきっかけとなりました。

愛知県:桜井こども園

子ども自らが遊びを見つけつくっていく園庭へ
子どもの主体性を育む保育を目指し、固定遊具を取り除きASOBIOを導入しました。枝や葉で作る、泥で遊ぶ、虫を観察する、丘を登るなど自発的な遊びを重ねる中で、自然や生き物との関わりを通して「社会の一員である」感覚を育み、学ぶことの楽しさや豊かな心を育てていきたいと考えています。

栃木県:清愛幼稚園

キンダーガーデンで育む命あふれる園庭への変革
幼保連携型認定こども園へ移行後、1・2歳児が遊び込める環境整備が課題でした。ASOBIOに相談し、職員研修や打ち合わせを重ねて全面改修を実施。固定遊具を撤去し築山や草花を整えた園庭は、虫や鳥が訪れる命あふれる空間へ変化しました。子どもたちは年齢ごとに冒険を広げ、町中にできた里山のような園庭を、これからも大切に育てていきます。

栃木県:安養寺めぐみ幼稚園

子ども自らが発見し挑戦できる環境
副園長就任を機に「平面の砂地は子どもに適しているのか」と疑問を抱き、ASOBIOと出会いました。安全管理や維持への不安も職員全員で打ち合わせを重ねる中で解消され、自然豊かな園庭へ改修。起伏ある地形や多様な動植物との触れ合いが新たな遊びや挑戦を生み出しました。森の幼稚園は未実現ですが、「未完成の完成」の理念のもと変化を楽しんでいます。

大分県:慈光保育園

園舎の建替えを機にこれからの保育ができる園庭に
旧園庭は遊具が並ぶ従来型で、展開が乏しく小さな子どもには危険もありました。園舎建て替えを機にASOBIOへ依頼し、樹木や傾斜、水を取り入れた自然豊かな園庭へ刷新。子どもの遊びや興味が広がり、大人の「遊びの概念」も大きく変化しました。環境によって保育は変わることを実感し、今の育ちに必要な園庭が整ったと満足しています。

茨城県:さくら幼稚園

運動場からこどもの遊びが広がる園庭に
改修前は平坦で魅力に乏しい園庭でしたが、ASOBIOによる築山やトンネル、植栽で環境が一変。子どもたちは登ったり隠れたりと体を存分に動かし、自然観察や虫との出会いも広がりました。外に出ることが楽しみになり、遊びや学びが深まる場に。園庭開放では未就園児や保護者も自然に癒され、これからの成長とともにさらに豊かな遊びが生まれることを期待しています。

埼玉県:つつじ幼稚園

思い切って遊具を撤去しASOBIOを作りました
現場の先生の意見を大切にし、園庭研修やアンバサダー園訪問を経てASOBIOでの改修を決定しました。3Dパースで保護者にも共有し、約1ヵ月半の工事を経て自然豊かな園庭が完成。子ども主体の遊びが生まれ、築山や水を使った挑戦も展開。先生の関わり方も変化し、共に環境を育てていく姿勢が育まれています。

千葉県:きたかしわ幼稚園

創作活動の広がるASOBIOを作りました
5年前から保育の在り方を見直し、室内環境改善に続いて園庭も改革しました。研修での声を反映し、多様な植物を植え泥遊びや生き物との触れ合いが可能に。工事中は職人さんが子どもに作業を説明し貴重な体験となりました。完成後はアトリエ空間での創作や築山での多様な遊びが展開され、ASOBIOは子どもの居場所が豊富な園庭となりました。

東京都:田柄幼稚園

「トコトコたがらんど」誕生!
田柄幼稚園は「いのち・こころ・からだ」を育む全身教育を掲げ、質の高い教育を追求してきました。2023年度にはASOBIOを導入し、SDGsを視野に入れた緑豊かな園庭を実現。子どもたちは虫や草花、畑の野菜に触れ、自然と共に成長しています。園庭は「遊びをとおして学ぶ」場として発展し、世代を超えた交流や四季折々の原風景が子どもたちの心に刻まれています。

埼玉県:あだちみどり幼稚園

雑草が愛おしくなる園庭
改修前は平らで見通しの良い園庭でしたが、遊びの幅が限られ発見や季節の変化も少ない環境でした。園舎改築を機にASOBIOゾーンを整備し、自然や生き物が身近になったことで子どもの興味関心が広がりました。築山での登り降りや探検、泥遊びなど多様な遊びが生まれ、集団だけでなく一人ひとりが好きな遊びや場所を見つけられる豊かな園庭となりました。

埼玉県:吉川ムサシノ幼稚園

まっ平な園庭から子どもがチャレンジできる園庭へ
体育指導を先生主導から、遊びと運動を組み合わせた主体的な活動へと変える中で、園庭環境にも疑問を持ちました。スポーツ中心では自律的な遊びが生まれにくく、自然に触れ合い冒険できる場を目指してASOBIOを導入。完成後は外遊びを避けていた子も積極的に参加し、危険場面では子ども同士で話し合う姿も見られます。卒園児や未就園児も集う地域に開かれた園庭として進化を続けています。

4. まとめ

これからの園庭デザインは、単なる子供の遊び場作りではありません。 人口減少社会において、産前産後のケアも含めた「地域の子育て拠点」として機能するためには、大人も心地よく、地域の人々が集いたくなる「景色(ランドスケープ)」への転換が必要です。

「こどもまんなか」であり、同時に「地域・いのちまんなか」の場所へ。 ASOBIOは、環境省の「30by30アライアンス」に参加し、園庭づくりを通じて生物多様性の保全(ネイチャーポジティブ)にも貢献しています。 地域に愛され、未来につながる園庭を一緒に作りませんか?

自然豊かな園庭づくりのパンフレットの案内