ランドスケープという言葉をご存知でしょうか。今まで幼稚園・保育所は「こどもが通う施設」でしたが、これからは園の存在は「大人からこどもまで、地域の人々が集う施設」になる必要があります。こども主体に加えて、地域の人々も主体と考える共主体の考え方です。その中で注目されているキーワードがランドスケープです。グランドと遊具を配置した従来型の園庭から、自然環境を上手に取り入れて地域の景観に馴染む園庭に改修する園が増えています。弊社のランドスケープデザイナーの比留間が園庭におけるランドスケープに関して解説をします。
「ランドスケープ」(Landscape)は、一般的に「景観」や「風景」と訳されますが、その意味はそれだけにとどまりません。ランドスケープは、自然環境の景観に加え、人間の影響を受けた景観や、文化的・歴史的要素も含む広範囲な概念です。単なる視覚的な美しさにとどまらず、地域の環境、社会的な背景、さらには人々の生活や文化にも関わる重要な要素です。
昨今、ランドスケープが注目される背景は、環境問題や都市化が進む中で、自然と調和した空間作りが重要視されています。緑地や自然空間の不足が課題となり、ランドスケープデザインが質の向上に貢献すると認識されています。
東京・立川にオープンした「GREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)」は、豊かな緑と調和した新しい複合施設です。約1ヘクタールの広大な自然空間「PARK」を中心に据え、建物と自然が一体となるようにデザインされています。四季折々の風景を楽しめるランドスケープの中に、レストランやショップ、ホテル、オフィス、さらにコンサートホールやミュージアムが点在し、都市の中にいながら自然に包まれる心地よい時間を過ごせます。
自然とのつながりを感じさせることは、子どもたちの成長に欠かせません。園庭における自然環境は、以下のように教育的な価値を提供します。
人工的(遊具等)に自然要素が加わることで、園庭は子どもたちに安心感を与えると同時に創造的な学びの場にもなります。
園庭におけるランドスケープデザインは、特に自然の豊かさを取り入れることに重点を置きます。
地域の文化や歴史を反映させることで、園庭はより深い意味を持つ場所になります。環境調査を通じて、地域に適した植物やデザインを選ぶことが重要です。
園庭にランドスケープの考え方を取り入れることで、子どもたちの成長を促進し、創造的な遊び場を提供できます。自然素材や多様な遊び空間は、子どもたちの発達や社会性にも良い影響を与えます。さらに、地域の自生植物、文化等を取り入れた園庭は、子どもたちに地域社会への愛着を深めさせ、より豊かな原風景を形成します。このような園庭づくりは、子どもたちの心を豊かにし、健やかな成長を支える重要な役割を果たします。